愚民の目
薬害C型肝炎訴訟をめぐる問題で政府は議員立法による被害者の一律救済の方策をとることを言明した。一刻も早い法案の成立が望まれる。被害者の要求に沿った形で法案が作られ、国の責任も明文化されるとするならば、妥当な決断と言えるだろう。(まだ法案の姿は明瞭ではないので予断は許さないが…)
気になるのは、国の姿勢である。今回の決断が今までの国の方針の転換であり、今後はこれがこの種の問題への基本的スタンスということになるならば、それも納得がいく。世の良識に沿った見直しと言える。だとすれば多くの他の案件もこの新しい方針に沿って見直しが図られねばならない。だが、そうではなさそうなのである。
自民党首脳は単に最近の内閣支持率の低下への処方箋として一時的(!)に「節」を曲げて今回の妥協案をひねり出したようだからである。ついこの間、水俣病をめぐって与党プロジェクトチーム(PT)は患者を差別し選別する(つまり「一律救済」しない!)方針に沿った懐柔策を作り上げて患者団体に示したばかりである。国の責任が裁判でも明らかになり、裁判所が現在の患者の認定法のまずさを是正するよう求めているにもかかわらず国は「一律救済」を一顧だにしていないという現実が一方にあることを忘れるわけにいかない。
「ご都合主義」ということばは彼らのためにある。よく恥ずかしくないものだ。呆れてしまう。
舛添氏はそこらへんの事情をわかってか、記者の質問にも苦笑いの体であった。首相の節操のなさに驚いているのだろう。でも自分の失言(いや、ホンネの吐露か?)から支持率の低下を招いた責任もある故、ここで首相を後ろから撃つわけにもいかないのだろう。
「愚民」という言葉がある。イヤな響きだ。自らを愚民と呼ばなければならないことはこの国では繰り返し起こっているのだから仕方ない。だが、首相や舛添氏は口にこそ出さないが、そういう目で国民を見ているに相違ない。
ついこの間まで人気の舛添厚生労働大臣だった(私も好感をもっていた 笑)が、実は同じ穴のムジナであった。
実は舛添氏については最近イヤな感じをもった出来事があった。
この間TVを見ていると彼が出演していて、その甲斐甲斐しくやさしい夫ぶりを披露していた。ゴミ出し、買い物、家事、日曜大工をこなすという模範的(?)な主夫ぶりをである。自分の主夫ぶりを説明する時のどことなくうれしそうな様子がカワイかった。(笑)
だが、だが、である。それは最初の印象で、へそ曲がりの私はじきに違和感をおぼえ出した。
私も自慢ではないが、舛添氏がしているくらいのことは一通りしている。大臣よりは私の方がヒマだろうから、今現在で比較すれば私の方が主夫的活動時間は長いはずだ。彼とは同じような年齢だろうが、私の子どもは彼の子よりだいぶ大きくなっている。私はその子が赤ん坊の頃から現在のような主夫ぶりであったので彼の何倍も年季が入っている(笑)。
私も聞かれれば自分のやっていることを話すことはある。料理の自慢をしたこともある。「マイバッグ」を持って買い物に行くことも多い。赤いダッコ紐でダッコしながらマーケットに行ったこともある。当時はそういう男性は他にはいなかったので珍しがられた。私は正直恥ずかしかったが背に腹は代えられない(笑)。私はあんなに楽しそうに話したりはしないだろう。説明するとしてもサラっと話して深入りしないように済ませるだろう。プライベートなことだからだ。色々な事情や思いがそこにはからんでいるからだ。(このブログは匿名だし文章なので少し楽だ 笑)
ところが彼は微に入り細に入り自分の有能な「主夫」ぶりを説明していた。実にうれしそうであった。私はそれが本気なのか疑った。配偶者から教わったにわか仕込みの芸を自分の伝統芸であるかのように披露して見せていたのだと思った。その魂胆が醜いと思った。いやそれとも彼は根っからの芸人(露出好き)なので嬉々として自分の鞄の中身やマイバッグやら並べて見せたくて見せたくてしょうがない人間なのか。
いずれにしても醜い。「庶民感覚の大臣」というイメージを売りたいという下衆な根性が透けて見えるからだ。
薬害問題への対応と似たものを感じる。「人気取り」である。
行政の責任者が、司法の判断にロクに従わない態度を示したり(水俣病)、司法の判断を絶対視(薬害)したりとコロコロ態度を変えるのは納得できない。国の責任がある案件については被害者の立場に立って誠意ある対応をするのが今日国に求められている姿勢なのだと思う。薬害問題は水俣病などと並んで、「議員立法」などという姑息な手段に頼ることなく国の責任において対処すべき事柄である。
愚民とて、こういう国の姿勢に関わる重要な案件が人気取りの手段に貶められようとしていることに怒りを感じているということを首相や舛添大臣は知るべきであろう。
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