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あしながおじさん?

《リード》
「揚げ足取り」と言われるかもしれないが、気になったので書いておく。
(末尾に会から返信が来たことを紹介している。読むなら最後まで読んでほしい/7.14記)

《本文》
 疑り深いせいか、街頭募金の類いに寄付をしたことがない。

 奨学金支給を看板にしたある有名な募金団体の財政状況が悪化しているという記事が「MSN産経ニュース」(09.4.25)に載っていて読んだのだが、いまひとつ納得できない。

「同会では、21年度の奨学金貸与総額を、2年前より約1割増の23億7500万円と見込んでいる。新規申請件数は過去最高ペースで年々更新しており、20年度は10年前の約2倍の2808人だった。しかし、貸与対象は高校生を優先するため、21年春の大学生への貸与は、申請者613人に対して378人。支給率61%は過去最低の数値だった。」

 ちょっと待って欲しい。「2年前の1割増」というのは少なすぎないか? それで「10年前の約2倍」。今までのペースより上昇率は落ちていることになる。「会」のHPにある「貸与総額」を見ても、08年度が「23億2000万円(予算)」だから今年度はそれと大差ないと踏んでいることになる。おかしくないか? むしろこの不況だから、昨年の1割増くらいを見込むべきではないのか?

 この会の財政状況はネット上にも公開されていて、私の見たところでは50億円規模の予算を組んでいて06年度と07年度はいずれも約20億円を繰り越している。そして昨年度も前年度並みの寄付を確保できたと上記の記事にはある。昨年度の収支報告書はまだアップされていない(08年度予算は示されていて前年比約1割増である)が、それらから推計すれば、08年度も18億円ほどの繰り越し金があったはずだ。そういう状況でありながら、なぜ今年度春の大学生への貸与の支給率を6割にしたのか、納得できない。その支給率にしたのは「会」の判断であろう。カネはあるのだから、出せばいいではないか。なぜそうしなかったのか?
 それに上記の記事、なぜ10年前と比較しているのか? 昨年一昨年と比較しても大して増えていないからではないのか。「2倍」という数字を強調して、そこらを不問に付したいのだろうか、毎年4割を繰り越しているこの団体が、なぜ「一昨年比1割増」を恐れて財政悪化を訴え支給を躊躇するのか。分かりにくい話しである。それは「実態」というよりも「影」におののいての出し渋りなのではないか。だとすればそこに働いているのは慈善団体としての人道的判断というより、会自体の維持・膨張を志す「保身」の論理ではないのか。
 もちろん、奨学金は継続的に支給されなくてはならないから、会の存続は重要な条件である。それに、この不況の機会にこそ会の名を売り込もうという戦略は寄付金に頼るこの種の団体としては正しい方針だろう。また、確かに財政悪化の「危険性」はあると思うから、多少慎重になるのはやむを得ない。
 だが、この会は奨学金だけではなく、住まいや勉強場所を確保し、心のケアをするための「ハウス」も用意し、そこへの支出が毎年1億円を越えている。また海外の支出も1億円(年額)に迫っている。どちらも立派な人道的支援活動だとは思うが、本来なら行政が行うべき施策であろう。もちろんそれがなされないからこそ民間での支援が必要になってくるのだが、恒常的支出がこういう形で膨張していくとすると、奨学金団体としての本来の機能が損なわれる恐れがある。現に「奨学金支給」という名目で集めたカネの約1割はこの種の活動に使われていることになる。こういう派手めの活動は宣伝になるので、生き残るためには必須なのだろうか。

 今この会のHPのトップには「日教組は、『日本の子どもは7人に1人が貧困状態にある』として全国で『子ども救援カンパ』を行い、全国で集まった募金の半額を本会にご寄付いただくことを決定しました。」(09.6.9付「朝日新聞」にも同内容の記事あり)という記事が載っている。

 産經新聞も、朝日新聞も、学校の先生の組合も動かす、ちょっと上手すぎるやり方が気になる。

 私が疑り深いので、善意を素直に受け止められないだけなのかもしれない。
 困っている人に援助したい気持ちはないではないが、この会への寄付はちょっと待っておきたい。(いや実は疑り深い上にケチなのでどのみち寄付はしないかも 笑)

 追記:この会にはメールを送って説明を求めるつもりである。その返答によってはこの原稿は削除または改稿されるもしれない。データの読み取りの誤りに気付かれた方は教えてほしい。
 
追伸:さっそく会から返事が来た。内容はともかく返信のタイミングといい(他の大企業よりはるかに早い!)、書きっぷり(ビジネスライクではなく、人間味のあるあたたかい筆致であった)といい「さすが」と思わせるものがあった。ここで紹介すると長くなるので、要点だけ記しておこう。ひとつは新聞記事は必ずしも会のメッセージを正確に代弁してはいない、という指摘であった。その通りだと思う。産經新聞のこの記事が信ずるに足るかどうかは個々の読者が決めるしかない。もう一つは、レインボーハウス運営やウガンダ支援はその目的で集めた募金で賄っているので、奨学金目的で集めたカネをそっちへ回したりはしていない、という説明だった。これはなるほどと思った。(信ずるかどうかはちょっと別にして) 残りのことについては私の推測を越える説明はなかった。データの誤りの指摘もなかった。下手に説明すれば新たな疑惑を生むということもあるから、キリがなくなる。通例公式に明らかにしている範囲での書き方になったのだろう。それから「匿名や筆名(私は「シードン」名でメールを送信した)の質問には答えないこともある」ともあった。当然だろう。今回答えてくれたのは、善意と解釈すべきなのだろう。会への疑問提出はこれ以上はやめて当分は静観することにしよう。

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